新着情報 2025.08.21

2025.08.21

業界初※となる水性1液型ジンクリッチペイント基本技術の開発に成功

~環境配慮と作業効率の両立を実現する次世代防錆技術を確立~

当社は、水性でありながら混合作業が不要な「1液型水性有機系ジンクリッチペイント」の基本技術開発に業界で初めて成功いたしました(特許出願中)。本技術により、従来の課題であった環境負荷と作業性のトレードオフを解消し、2026年度中の製品化を目指してまいります。
※自社調べ

亜鉛粉末のSEM画像

亜鉛粉末のSEM画像

開発背景:業界の長年の課題に挑戦

鉄のさびを防ぐ「ジンクリッチペイント」は、橋梁やプラントなど重要な社会インフラの維持に不可欠な防食塗料です。しかし、これまでの製品には以下のような課題がありました。

  • 溶剤系塗料:作業性・経済性に優れる反面、VOC(揮発性有機化合物)の排出や強いシンナー臭により、環境や作業者の健康への影響が懸念されていました。
  • 従来の水性塗料:環境にやさしい一方、現場での混合作業が必要な「1液・1粉型」や「2液・1粉型」のため、計量ミスや可使時間の制限など、作業の煩雑さが課題でした。

技術革新:独自技術で「水」と「亜鉛」の反応を制御

当社は長年の研究開発により、水性塗料の1液化を阻んでいた最大の課題である「水と亜鉛粉末の反応による水素ガス発生」を独自技術で解決しました。

革新的な技術により、水素ガス発生を抑制しながら亜鉛本来の防食性能を最大限に引き出すことに成功。これにより「水性」と「1液」の両立を世界で初めて実現いたしました

技術的成果

1. 二律背反の技術課題を克服

水性ジンクリッチペイントにおいて、水素ガスの発生抑制と防食性の維持は互いに相反する事象です。当社は独自の技術アプローチにより、この極めて困難な技術課題の解決に成功しました。

2. 実証された優れた性能

●水素ガス発生抑制効果

従来の水性製品と比較した試験において、従来品がわずか3日で大量のガスを発生させるのに対し、当社開発品は長期間にわたり水素ガス発生量が極めて少なく、1液での長期安定性を実現しました。

水素ガス発生量の経時変化比較

図1 水素ガス発生量の経時変化比較

●防食性能の維持

腐食促進試験である塩水噴霧試験(SST)1440時間の結果、開発品はさびや塗膜の膨れなどの異常が一切見られず、従来の水性製品と同等の優れた防食性能を維持することが実証されました。

SST試験結果比較

写真1 SST試験結果比較

学会での技術発表

本開発技術は、国内外の学会において発表し、高い評価をいただきました。

発表者:技術開発部 係長 中谷 恭之

●13th Asia Pacific General Galvanizing Conference (APGGC) 2025

講演日: 2025年6月25日(水)

●第45回防錆防食技術発表大会

講演日: 2025年7月3日(木)

防錆防食技術発表大会の講演

防錆防食技術発表大会での発表の様子

APGGCの発表

APGGCでの発表の様子

今後の展開

当社は2026年度中の製品化を目指し、建設・インフラ業界における労働環境の改善と生産性向上を支援するとともに、あらゆる鉄構造物の長寿命化により持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
 

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